香川俊介氏追悼記事掲載

私の旧知の友人である読売新聞の望月編集委員が逝去された香川さんとの思い出をコラムに書いてくださいました。

昨日8月27日付け読売新聞朝刊11面に「2参謀と香川氏の殉職」という題名で掲載されています。

人生の最後の力を振り絞って「社会保障・税一体改革」と消費税増税に賭した香川さんは、日本にとっても得難い人物であったと今また噛みしめる思いでおります。

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※読売新聞社の許諾を得て掲載しています

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追悼香川俊介氏

8月9日、親友の香川俊介さんがお亡くなりになりました。

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(2014年10月18日 軽井沢の拙宅の庭にて)

思い返せば、香川さんが大蔵省入省1年生、私が政経塾入塾1年生の時からの35年の長きにわたる付き合いで、以来、20代・30代・40代・50代と年齢別に一緒に行くお店が変わっただけで、だいたい月に2回は共に議論し、酒を酌み交わしながら語り合ってきた仲でした。

香川さんがロンドンのチャタム・ハウス赴任時に合流し、
一緒にバルト三国を巡ったことも懐かしい思い出です。
また、私の軽井沢の別荘や、蔵王や湯河原の温泉、ラグビー観戦等々、共に過ごした沢山の日々が昨日のことのように思い出されます。

青春時代からこれだけ一緒に過ごしてきた友人を亡くすのは、私の人生の中でも初めての体験なので、なんともいえない寂しさを感じており、この喪失感とどう向き合うか、しばらく葛藤してゆくことになりそうです。

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(2015年1月24日 蔵王にて)

香川さんの訃報に接し、日頃より懇意にして戴いております歴史学者の山内昌之先生にお願いし、追悼文を書いて戴きました。

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香川俊介氏を哭す
山内昌之

前財務次官の香川俊介(かがわ・しゅんすけ)さんが8月9日に東京都内の病院で亡くなられました。58歳の若さでした。惜しみても余りある死だという声は、いろいろな所から聞こえてきます。

1979年に旧大蔵省(現・財務省)に入省してから、予算編成を担う主計局を中心に勤務し、2014年7月に木下康司(きのした・やすし)さんの後任として事務次官に就任しました。香川さんは、12年の自民、公明、民主の3党合意による「社会保障・税一体改革」の推進や、14年4月の消費税率8%への引き上げなどに力を尽くしました。増税は政治家と国民には不人気な政策です。とくに消費税の値上げにもろ手を挙げて歓迎する人は少ないでしょう。しかし、実質的に破綻国家となったギリシアよりも財政状況の悪い日本において、誰かが国の未来や子孫の歴史を見据えて消費税10%への増税の必要性をわかりやすく説得しなければなりませんでした。

香川さんは、その包みこむような人格的な暖かさや、難しい問題を分かりやすく説明してくれる能力において、一頭地を抜いた存在でした。生前、香川さんとの個人的な会話や研究会などでの触れあいにおいても、私が魅せられたのはその頭脳の明晰さにもまして、誰をも分けへだてしない人間的な誠実さでした。税金だけでなく日本の将来の在り方を総合的に心から憂えた香川さんは、歴史や政治外交についての私の意見をじっと聞き、感想を的確に述べられたものでした。

香川さんの58歳という早すぎた死を歴史的に思うとき、私はすぐに明治時代に生きた二人の人物を思い浮かべました。それは、川上操六と田村怡与造(たむら・いよぞう)です。二人はそれぞれ50歳と48歳の若さで死を迎えました。この二人は軍人であり、香川さんは文官だという大きな違いはあります。戦後生まれの香川さんを明治に活躍した軍人と比較することを訝しく思う方もおいでかもしれません。それでも3人には或る共通点があるのです。

薩摩出身の川上操六は、明治26年(1893年)10月に参謀本部次長に就任し、日清戦争の開戦に大きく関わった人物ですが、何よりも川上は明治31年(1898年)1月に参謀総長となって、やがて必至と見られた日露戦争の備えをする運命を担っていました。しかし、激務の高じたあまりに、翌年の明治32年5月に満50歳で没したのです。この後を託されたのは、甲州(いまの山梨県)出身の田村 怡与造です。武田信玄に擬えて今信玄と謳われた人物でした。明治32年(1899年)1月に参謀本部第一部長(作戦)となった彼は、仮想敵国のロシア帝国との戦争が想定されている折も折、同じ年に上司の参謀総長川上操六を失うことになります。その後、明治35年(1902年)4月に参謀本部次長に就任し、開戦には消極的だったロシア帝国との戦争を想定して戦略を練りました。しかし、国が亡ぶかもしれないという過度の緊張感と過労のために、日露戦争開戦の前年に死去しました。川上と同じく頭脳を酷使しすぎると知らず知らずのうちに病魔に冒されるものと見えます。田村の後任として、内務大臣にして台湾総督の児玉源太郎が降格して参謀次長になったことはあまりにも有名です。

香川さんはじめ3人は、国がこの人物たちを必要としたときに世に現れたのでしょう。この点は歴史における偶然かもしれません。そして歴史を動かす準備をしながら、その大業を果たす直前に忽然と世を去ったのです。かれらは、その目標や使命が異なるとはいえ、国のために責任ある地位に就き、毎日のように人びと会い難しいポイントを説得し、未来の構想のために脳漿をふりしぼったという点では共通しているといってよいでしょう。かれらの私生活のなかにも仕事の重荷が浸潤するのは、想像以上に健康をむしばむものではなかったかと思われます。58歳、50歳、48歳というのは、あまりにも若く、これからの日本のために国民のために働く貴重な可能性を秘めた死でした。

その人の人生について判断をくだすとき、最後の死にざまに注目すると語ったのはフランスのモンテーニュでした。モンテーニュは自分の人生における主たる関心とは、最後がみごとに運ばれること、すなわち静かに、ひっそりと死んでいくことだと語りました。人には誰でも残した仕事へのこだわりがあります。香川さんもそうだったでしょう。しかし香川さんの死は、まさに人に知られることなく息を引き取ったという点で控えめな香川さんらしく、心安らかなものではなかったかと信じます。故人の御冥福を心からお祈り申し上げます。

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神蔵孝之交遊録~山下万喜海上自衛隊幹部学校長10MTV収録第二弾

弊社が運営する教養メディア「テンミニッツテレビ・オピニオン」において、海上自衛隊幹部学校長・山下万喜さんのご講話を収録させていただきまし た。

山下さんには、前回6月に「戦史に見る意思決定プロセス」というシリーズの第一弾として、バルチック艦隊を対馬海峡で迎撃するに至った東郷平八郎の意思決定のプロセスについてお話しいただきましたが、今回は、山本五十六の真珠湾攻撃における奇襲、南雲忠一のミッドウェー海戦における雷装から爆装への換装、そして栗田健男のレイテ沖海戦における謎の反転の三つのケースについて、それぞれお話しいただきました。

本講話のシナリオ作成にあたり、山下さんは、海上自衛隊幹部学校内でふだん別々に仕事をしている戦史研究と作戦要務の担当者を集め、両者の話を聞きながら分析と考察を加えられたそうです。戦史研究のみならず、そこに指揮官の意思決定プロセスを添えると、何が正しく、何が間違っていたかが明確になるとのことでした。また、戦史研究の切り口によって教訓の残り方が変わるが、このような分析手法は共通認識を持つためにツールとして非常に役に立つとのことでした。

歴史好きな人はもちろん、歴史に興味がない人にも楽しんでいただける内容だと思います。この模様は「テンミニッツテレビ・オピニオン」で近々配信予定です。

なお、山下さんは、8月4日付で佐世保地方総監に転任されます。新天地でのご活躍を心より祈念しております。

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神蔵孝之交遊録~堀江重郎先生JBCセミナー

私が理事を務める日本ビジネス協会(略称:JBC)の7月のインタラクティブセミナーは、長年懇意にしていただいている順天堂大学大学院医学研究 科泌尿器外科学教授の堀江重郎先生にご登壇いただきました。

堀江先生は、医療ロボット「ダヴィンチ」を駆使した前立腺がんの手術治療で非常に有名な方で、泌尿器科やホルモンがご専門です。当然、それらの見 地から、男性のアンチエイジングやED、男性更年期などについてさまざまなご著書も書かれています。

今回は、「リーダーシップのアンチエイジング」と題してご講演いただきました。肉体のみならずリーダーの資質も老いていくことが医学的にも解明さ れており、「最近丸くなった」「判断を任せてくれる」と言われたことがある人も、人間としての成熟ではなく、単に老化現象に過ぎないかもしれな い、という先生のご指摘は大変興味深いものでした。

特に、ロンドンのシティのトレーダーの男性ホルモンの値を調べると、高い人ほど利益を多く出しているが、損失も大きいというお話は大変面白く、リ スクを取ることと関係し、冒険・社会性・競争のホルモンである「テストステロン」について、より理解が深まりました。

この模様は、弊社が運営する教養メディア「テンミニッツテレ ビ・オピニオン」でも近々配信予定です。

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松下政経塾第36期向け講演を行いました

松下政経塾第36期生向けに、松下幸之助塾主研究講演を行いました。

いま最も松下幸之助の本が読まれているのは日本ではなくアジアです。中国の大学の書店では松下幸之助の本が平積みになっているとのことです。

それに対して、私の母校早稲田大学でも松下幸之助の名前すら知らない学生がいると聞きます。

残念ながら日本では存在感が薄れている松下幸之助ですが、まだまだ現代日本には松下塾主に学ぶべきことが沢山あります。

たたき上げの松下塾主の話は全てが具体論で、企業経営と同じように国家経営もできるはずだと考え、「無税国家」等大胆な政策を提言しました。

現代の日本学校教育で行われている「正解が必ず(一つ)ある」という世界の中では、現代日本が抱える課題を解決することはできず、答えのない世界、答えが見つかったとしても一つとは限らないという世界の中で問いを見つけて解を求め続けることが重要ではないかとお話ししました。

講演後の質疑応答でも日本の今後について白熱した議論が交わされ、若い方たちのエネルギーをいただいたような気がします。

ありがとうございました。

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神蔵孝之交遊録~東大岡部徹先生研究室

弊社が運営するスマートフォン・タブレット向け大人の知性・教養メディア「テンミニッツテレビオピニオン」ご出演頂いているレアメタル研究の第一人者・東京大学生産技術研究所副所長・岡部徹先生の研究室に伺いました。 浅草寺や北野天満宮の瓦は実はチタンだそうです。

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中国の輸出制限で話題になったジスプロシウム。永久磁石のうち、最も強力なネオジム磁石の保磁力を高める添加物として利用されています。現在、中国で 99%生産されてるそうです。

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岡部研の助教や大学院生の方々との懇親会にも参加しました。岡部先生、皆さん、本当にありがとうございました。

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(左から)大上二三雄 エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役、岡部徹 東京大学生産技術研究所教授ほかみなさんと

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神蔵孝之交遊録~宮古島

経営者仲間と宮古島に行ってきました。

これからの生き方や、世の中に起こるであろう変化、ビジネスモデルなど、じっくり語り合うことができ、大変勉強になりました。

忘れることのできない充実した日々を過ごすことができました。

 

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(左から 西本甲介 前メイテック取締役会長、大上二三雄 エム・アイ・コンサルティンググループ代表取締役、寺井秀藏ワールド代表取締役会長)

 

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神蔵孝之交遊録~オピニオン委員ワイン会

弊社が運営するスマートフォン・タブレット向け大人の知性・教養メディア「テンミニッツテレビオピニオン」における小宮山宏座長以下、委員の講師の方々と第3回目ワイン会を行いました。

ワインテーマはカリフォルニアワインで曽根先生にセレクトしていただいた泡、白、ピノ、カベルネを軸に、伊藤先生植田先生に貴重なワインをお持ちいただきました。

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ワインはどれも素晴らしく世界最高水準といえるもので、会話が膨らみました。

これ以上のワインはそうそうないと皆様感激しておられました。

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左から、森信親 金融庁監督局長、伊藤元重 東京大学大学院経済学研究科教授、小宮山宏 株式会社三菱総合研究所理事長、野田佳彦 前内閣総理大臣、植田和男 東京大学大学院経済学研究科教授、曽根泰教 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、中島隆博 東京大学東洋文化研究所教授と

 

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次回のワイン選びに苦慮しそうですが、次回も楽しみにしています。

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神蔵孝之交遊録~末井昭氏JBCセミナー

私が理事を務める日本ビジネス協会(略称:JBC)の今月のインタラクティブセミナーは、話題の書『自殺』(朝日出版社)の著者でもあり、私の義弟でもある末井昭さんにご登壇いただきました。

20150617_末井昭氏自殺表紙

同著は昨年第30回講談社エッセイ賞を受賞した作品です。「自殺」という重いテーマを彼独特のユーモラスな文章で表現しながら、“自殺スパイラル”に悩む人々や、身近な方の自殺によって苦しむ人々に救いの手をさしのべた大変意義深い作品です。「自殺者を思い続けることは自殺者を悼むこと。この本はそんな想いで綴った」という末井さん、同著に込められた思いを語ってくださいました。

今回のセミナーは、同氏のお母様の心中という原体験、同著の出版までの経緯、執筆・編集する過程で出会った方々や書籍などをご紹介いただきました。
富士の樹海のお話、秋田県の自殺率の高さについて研究をされた法医学者の話、老人の自殺率が低い徳島県の海部町の特徴について、北海道浦河町にある精神障害等を抱えた方々が運営し成功した事例「べてるの家」のお話など、今、日本が抱えている「自殺」という問題の解決に向けて、大きな示唆となる事例をお話いただきました。

講演の最後に末井さんは「べてるの家」の創設者・向谷地生良さんの書いた文章を朗読してくださいました。
ここに引用させていただきます。

<しかし元来、人間には人としての自然な生き方というものが与えられているのではないか。
その生き方の方向というのが、「右下がり」である。昇る生き方に対して「降りる生き方」である。
現実には多くの人たちが、病気になりながらも「夢よもう一度」の気持ちを捨て切れず、競争しつつ「右上がり」の人生の方向を目指している。
何度も何度も自分に夢を託し、昇る人生に立ち戻ろうとする。ところが不思議なことに、「精神障害」という病気はそれを許さない。
「再発」というかたちでかたくなに抵抗する。まるで「それはあなた自身の生きる方向ではないよ」と言っているかのように……。
その意味で精神障害者とは、誰よりも精度の高い「生き方の方向を定めるセンサー」を身につけた、うらやむべき人たちなのかもしれない。>

<参考文献>
『自殺』(著:末井昭/朝日出版社)
『べてるの家の「非」援助論~そのままでいいと思えるための25章』(著:浦河べてるの家/医学書院)
『生き心地の良い町』(著:岡檀/講談社)

JBCセミナーは毎月開催しているのですが、弊社サービス「テンミニッツテレビ・オピニオン」の講師を招へいする形でコラボ企画を行っています。

2014年11月より、計7名の有識者の方々にご登壇いただきました。この講演の模様は「テンミニッツテレビ・オピニオン」で配信中です。

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神蔵孝之交遊録~山下万喜海上自衛隊幹部学校長10MTVオピニオン収録

弊社が運営する教養メディア「テンミニッツテレビ・オピニオン」において、海上自衛隊幹部学校長・山下万喜さんのご講話を収録させていただきまし た。

山下さんが海上幕僚幹部の防衛部長時代より懇意にしていただいており、昨年は海上自衛隊幹部学校を訪問させていただき、図上演習等について詳しく 解説していただきました。

今回のご講話は「指揮官の意思決定プロセス」というシリーズで、その第一弾として、1905年5月、日露戦争中に行われた日本海海戦において、「もし自分が東郷平八郎だったら、バルチック艦隊を迎え撃つ場所は対馬海峡か? 津軽海峡か?」というテーマでお話しいただき、東郷の意思決定の プロセスについて、“Suitability”“Feasibility”“Acceptability”の三つの要素から、明らかにしていただ きました。

軍事関連の資料や文献において、戦史についてはよく目に触れる機会もありますが、実際に戦っていた人が書いているケースは稀なので、 「もし自分が東郷平八郎だったら」というところまで踏み込んだものにはなかなかお目にかかれません。その意味で今回、歴史上の事実でも部隊運用や 防衛力整備に反映させていく自衛隊ならではの貴重なお話を伺うことができ、大変有益な機会でした。

また、海上自衛隊が密に連携し多くを吸収している米海軍では、このような意思決定プロセスを常に見直していることや、その背景として、米国では民 族や文化の違いの中で、皆が持ち得る力をいかに最大限発揮させるかということが体やDNAに染み付いており、それを技術としてアートとして持ち合わせていること、それに比して、日本人は農耕民族という世界の中で、さまざまな価値観をぶつけ合う場がなく、「何のためにやるのか」という目的意識であ る「使命の分析」が決定的に欠けているというお話は、まさに大組織のマネジメントやグローバルでの競争を余儀なくされる日本の課題とも非常に共通する部分が多く、大変感銘を受けました。

次回以降、真珠湾攻撃やミッドウェー海戦などもテーマとしてお話しいただく予定ですので、今から非常に楽しみです。この模様は「テンミニッツテレ ビ・オピニオン」で近々配信予定です。

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